二〇一六年十月五日水曜日
曇り
とある用事で午前中、下北沢へ。
平日朝十時ごろの下北沢にはそういえばあんまり訪れたことがなかったのかもしれない。昨日から明け方までの夜の薫りを残している時であり、あるひとたちはきょうを開きはじまりに向かっていく。ぼんやりしている、活気が眠っている下北沢。なんだかすっぴんを見ているような、そんな空気が妙でおもしろかった。
行きの井の頭線、おおきなiPad(のようなもの)をひろげる四〇代くらいの男性が隣にすわった。すこし経ちのんさんが飽きて声をあげた。持っていたえほんをよんで落ち着いていたのだけれどふっとおおきなiPadの紳士の方を向くとアンパンマンを検索して画像をたくさんひろげていた。(どうしてこどもは見るのでしょうねー)とさらっと話しかけてくれながらのんさんに見せてくれた。アンパンマンのパロディを拡大してくれたりもした。ユーモアがあるけれど押し付けもしないいい距離感を持つ、これぞ紳士だった。あの方はどんなお仕事をしているのだろう。帰りの井の頭線では、五十代くらいのくしゃっと笑う仕事着の男性が話しかけてくれる。(何ヶ月?)(いつからじっとものを見るようになるの?)(おれのことじっと見るのよ。好かれちゃったみたい。)気さくでかわいらしいひとだったな。バスで隣になるおばさまも話しかけてくれた。きょうはのんさんに話しかけてくれるひとが多くて、あっという間のたのしい移動だった。ああ、素敵。
ごはん支度をしているとのんさんはわたしを追いかける。流しにいると見つけると、流しにやって来て、つかまり立ちをする。(いったいなにをやっているの?)というようなようすで上を覗こうとする。冷蔵庫になにか取りに行くと、(あら。そっち。)とゆっくり慎重にお尻を床につけて座り、はいはいで移動する。そこにいていいよ、と言っても彼女は律儀にいっしょに移動する。冷蔵庫でぱっと取ってまた流しに戻るなんてこともある。それでも、健気に真剣な表情のまま、ぷるぷるしながらお尻をゆっくり床につけて、移動する。立つことも座ることも時間もかかれば容易でもないだろうに、臆することなくなんどもきもちにまっすぐに繰り返す。作ることに夢中になっていて、思い出したときにのんさんを見つめるとものすごい笑顔をみせてくれる。なんて健気でしょう。彼女はきっといっしょに作ってくれていた。だからきょうのごはんはおいしい。おおきくなってもいっしょに作りましょうね。
夜ごはんは、青梗菜とあさりの炒めもの、かつおのお刺身、鰯の南蛮漬け、ピーマンの肉詰め、ごはん。
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